ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
観察眼
遠藤 保仁 今野 泰幸
スポーツに携わる人にとっては身につけたいであろう「観察眼」。言葉そのものは本書終盤まで登場しないが、示唆に富み引き込まれる内容だ。
第一部は、センターバックとして評価の高い今野泰幸のサッカー半生。自分の武器に気付くことも、サッカーを知ることも「人より遅かった」と言うが、自身や所属チーム、日本代表にも及ぶ分析は鋭い。第二部では今野と遠藤保仁との対談を挟み、2011年のアジアカップでの一戦を振り返る中で、ようやく遠藤が「観察眼」について触れる。それをふまえて、第三部で遠藤が何を考えてプレーし、プレーを通して何を感じているかが書かれている。
遠藤は「観察眼」を、「試合を読む力」と言い換えた。そこから第一部を見返すと、今野が「試合の流れを読むために重要な要素は嗅覚」と言っている部分がある。この感覚は、試合経験を積むことで培われていくという。現在の日本代表を支える2人のサッカー観が凝縮された一冊となっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
カテゴリ:人生
タグ:サッカー
出版元:角川書店
掲載日:2012-04-10