ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
還暦ルーキー
平山 讓
副題に「60歳でプロゴルファー」とある。主人公、古市忠夫は兵庫の県立高校では野球部で活躍。しかし、肩を傷めて辞めた。もう一度と立命館大学ではボート部。
京大に勝ち、早稲田に勝った。のち30歳でゴルフを始めた。お金持ちではなく、むしろ貧乏。小さなカメラ店のおやじであった。そしてあの阪神淡路大地震にあう。
消防団員でもあった古市氏は必死で、かつ冷静に救命活動を行った。このくだりは正直読むのがつらい。「ここは地獄や」という言葉だけ紹介しておくが、やはり永遠に記憶に留めるべき事実と改めて思う。
家もなく、何もなくなったが、車だけは残った。そのトランクになんとゴルフクラブがあった。古市は、これで家族を養うことを決意する。60歳のプロ挑戦。その最終日、もうだめだと思う大ピンチに出会う。1回のミスは失格を意味する。
結局そこから奇跡のリカバリー、そのあと「これは入る」という奇妙な感覚が続く。
そして合格。
こう書くと簡単だが、読めば必ず勇気づけられる。気持ちがシャンとする。保証します。
四六判 216頁 2001年4月15日刊 1500円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
カテゴリ:人生
タグ:ゴルフ
出版元:講談社
掲載日:2002-10-03