ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
ボディ・ランゲージ 現代スポーツ文化論
アンドリュー ブレイク 橋本 純一
ボディランゲージというと、仕種による表現と受け止める人も多いだろうから、副題も同時に掲げた。この副題のほうが内容に則している。英語の副題は"The Meaning of Modern Sport"である。
ボディランゲージとは、ここでは「スポーツは身体によって語られる優れた言語である」という意味である。
多くの身体論やスポーツ論があるが、この1冊は格別読みごたえがある。ドーピング問題1つにしても、すでに単にフェアプレーやスポーツマンシップという概念だけでは論じきれない。生化学始め、遺伝子およびその操作、再生医療などの問題と絡んでくるのみならず、脳のほかは機械でもよいと宣言する科学者も出てきている現在、ことはスポーツに限定して語れない。
著者は、英国キングアルフレッズ大学のカルチュラルスタディーズ学部の教授である。体育・スポーツやスポーツ社会学という分野ではなく、カルチュラルスタディーズという学部からこの問題が提出されたことは、いわば当然であり、われわれはこれまでとは違うスポーツの見方に出会うことになる。これまでとは異なるが、居心地の悪い視点ではなく、むしろすんなり受け入れることができる。
スポーツ新聞やスポーツ雑誌、あるいはテレビのスポーツ番組の報道や論調に腑に落ちないものを感じている人にはぜひ読んでいただきたい。
B6判 352頁 2001年3月30日刊 2800円+税
(月刊スポーツメディスン編集部)
カテゴリ:身体
タグ:カルチュラルスタディーズ スポーツの意味
出版元:日本エディターズスクール出版部
掲載日:2001-11-15