ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
マラソンは上半身が9割
細野 史晃
近年では、マラソンが各地域で開催されるようになりブームというより文化に近くなってきたのではないかと思えるくらい盛んになっている。
マラソンは他の競技と違い指導者がいなくてもできることで、身近な反面、無理なフォームで走ってしまいケガにつながることも多い。走り方について教えてもらうのは親や学校の先生になるが、だいたい「脚を上げなさい」「腕を振りなさい」「あごを引きなさい」「かかとから足をつきなさい」という指導になる。
本書によると、よい走りをするためには「姿勢」「重心」「上半身」ということで、上半身を意識して動かすとよい走りができることを物理学や機能解剖学から考察している。また姿勢に関しては、いろんな姿勢の人がいることで一つの指導では対応できないことが多いが、姿勢を分類し、各姿勢に対する対処法や走法なども提案している。
ただ、上半身といっても体幹で走るということにフォーカスしてるのでは? と感じることが多かったことと、後半はマラソン一般書籍と同じようなトレーニングやマラソン小話になっていることがタイトルの割に残念に思える。マラソン愛好家の方々が走り方を見直したいとき、専門家に教わっておらずタイムに伸び悩むランナーなどにお勧めな一冊である。
(安本 啓剛)
カテゴリ:運動実践
タグ:マラソン 姿勢
出版元:東邦出版
掲載日:2016-06-25