ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
古武術「仙骨操法」のススメ
赤羽根 龍夫
西洋から発したスポーツは力を尊び、日本の武道は個々の筋肉の力にのみ頼るのではなく、効率的な身体の使い方で力を生み出す。武道などでは「極意」という言い方になるのかもしれませんが、本書は日本古来の身体の使い方を今風に解説したものです。
今やスポーツの世界もバイオメカニクスなどの研究が進んでいますので、筆者の思い描いているようなものとは少し違ってきているように思いますが、本書の特筆すべきポイントは言語化しづらく観念的であった「極意」というものを解剖生理学的な解説により具体性を持たせたところにあると思います。
本来は身体で覚えるべきものではありますが、正確な解説に沿えば遠回りしなくて済むかもしれません。
さらには身体の使い方に対する理解が深まることで、鍛えるべきポイントも見えてきそうな気がします。
個人的な感想ではありますが、「筋力」と「極意」は二律背反ではありません。近代スポーツでは様々な角度からのアプローチが試みられています。効率的に力を生み出す技術はその中核にもなりうる事項だと思いました。
(辻田 浩志)
カテゴリ:身体
タグ:古武術
出版元:BABジャパン
掲載日:2017-06-03