ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
サッカー解体新書
Donald T Kirkendall 大澤 真
フィジカルトレーニングの基礎的な教本
まずこの本を一言で表すなら、「フィジカルトレーニングの基礎的な教本」と表すことができる。各部位の自重トレーニング、レジスタンストレーニングなど、筋肉の動きがわかりやすいイラストつきで書かれているため、サッカーのトレーナーを始めたばかりのトレーナーはもちろん、熟練のトレーナーが熟読し、理解を得るためにも非常によい一冊だ。また、トレーニングだけではなく、解剖学、生理学、ウォーミングアップはもちろん、FIFA11+といった、タイトル通り、サッカーに合わせた情報が217ページに収められている。選手への教本としても非常に有用に扱うことができそうである。
サッカーとの関連性が必ずある
本書には必ず、サッカーとの関連性が書かれている。サッカーのトレーニング本としては珍しく上肢、とくに腕までトレーニング方法や意味、サッカーでのパフォーマンス発揮についてまで書かれており、全身を網羅している。動作についても、30ページに膝の正しい着地動作を簡単に描いたイラストがある。コレクティブな動作とそうでない動作を分けて描かれており、これに対応するためのトレーニングとして中盤から後半のサッカーに関連したトレーニングがある。
ポジション別のトレーニングにまで言及している
ポジション別、とくにGKはサッカーにおいて動作がかなり特殊だが、そのためのトレーニング方法も一部記載されている。なぜ必要なのかがわかりやすく書かれている。たとえばGKステップアップと名付けられているトレーニング方法があり、バリエーションの記載まであるため、限られた環境でもこのトレーニングを選択することができる。
この良書を活かすためには
上記した通り、この非常にわかりやすくイメージをしやすい良書を活かすためには、トレーナーには判断力が求められる。本書ももちろんだが、数多くのトレーニング本が、あるいは動画が世の中に溢れている中で、どのトレーニングがどんな選手に必要なのか、あるいは必要ないのか、ということをしっかりと理解した上で判断しなければいけない。本書は、その必要性の部分をしっかりと学ぶことができる。
(笠原 遼平)
カテゴリ:運動実践
タグ:サッカー 解剖
出版元:スタジオタッククリエイティブ
掲載日:2017-11-09