ATACK NET ブックレビュー
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レジリエンス 復活力 あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か
アンドリュー・ゾッリ アン・マリー・ヒーリー 須川 綾子
「レジリエンス」という言葉はあまり聞き馴染みがないかもしれない。直訳すると「回復力」「反発力」。辞書的には「外部から力を加えられた物質が元に戻る力」「人が困難から立ち直る力」を意味するとされている。外から力を加えられてへこんだボールが反発で元に戻る様子を想像してもらえるとわかりやすいかもしれない。
本書では、はじめにレジリエンスとは何かについて例を挙げて説明し、本書内におけるレジリエンスの定義づけを行ったのち、レジリエンスの法則や原則、事態に対するアプローチの方法やもたらす効果について述べ、レジリエンスにおけるこれらの概念を多くの事例から考察し、特性について問い直して理解することを目的としている。
実際に読んでいただかなければ、この本の本質は伝わらないと思う。非常に密度の濃い一冊となっており、一度で読み切ってすべてを理解することはまず不可能だろう。多くの時間をかけるだけの価値はある一冊だと思うので、章ごとや事例ごとに読み終えたら内容を自分なりにまとめて理解することを繰り返し、時間をかけてじっくり読み進めることをおすすめする。世界では困難や望ましくない状況がいくらでも発生し、時には予想だにしなかった困難がふりかかってくることもある。レジリエンスについて理解し必要な知識を積み重ねることができれば、所属する組織や集団、または自分自身が困難に立ち向かう際に役立つことだろう。
(濱野 光太)
カテゴリ:その他
タグ:レジリエンス
出版元:ダイヤモンド社
掲載日:2019-08-23