ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
筋肉の栄養学 強いからだを作る食事術
川端 理香
昨今、パーソナルトレーニング施設の増加や、身体に対する健康意識の高まりにより、ネットや書籍などで栄養の情報が多くなりました。プロテイン販売の売上規模が増加し、コンビニエンスストアでもサラダチキンなど高たんぱくを意識した食材を目にします。
私たち人間は基本的に三食のご飯を食べます。その食事で何を選び、どれくらい食べればよいか、また食事全体のバランス量はよかったのか、日々悩ましい問題です。
この書籍は長年アスリートの側で食事について見守ってきた管理栄養士による食事のお話です。帯には「食事で筋肉を作る」と入っており、食事で体質改善を目指す方にはぜひ手に取って欲しいです。
まずは各5大栄養素の話から、具体的にどのように食事を摂っていくか、そして最後に経験談、Q&A形式という構成です。管理栄養士による食事指導は、「怒られる」「否定される」という認識がアスリートにはあり、よくチームの就任時には選手から、また怒られるとぼやかれたと述べています。だからこそ、食事の見直しは、選手が継続していく内容と改善する内容を明らかにすることが栄養指導の始まりです。あるサッカーチームではシーズンの終盤に除脂肪体重を上げたというエピソードがあります。食事の意識改革を行い、成功した例であり大変興味深いです。
著者は、最後にこれまでの経験を振りかえった際、食事環境の重要性を述べています。それは、チーム事情や移籍、結婚、海外、子どもの有無、寮生活、学校生活、友人関係、職場と多岐に渡り、環境は年々変化します。そのためにはまず食事に関する知識を得ておく必要があり、その知識を本書から得ることができます。
私も昔、太っていたときは暴飲暴食気味でしたが、和食を中心に食事の見直しを行い、痩せることができました。今現在は少し太ったので改めて食事を考え直すよいタイミングです。本書の通り食事を改善するのも難しいです。なかなか一度にできることではなく、何度も自分で試す必要があります。ですが、試す価値は十分にあります。食事が義務にならず味わって食べるご飯は美味しいです。ぜひ、普段の健康に意識を持つきっかけになることを願っています。
(中地 圭太)
カテゴリ:食
タグ:スポーツ栄養
出版元:朝日新聞出版
掲載日:2020-05-16