ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
自慢の先生に、なってやろう! ラグビー先生の本音教育論
近田 直人
『ごくせん』や『ROOKIES』(ルーキーズ)、古くは『3年B組金八先生』は情熱を持った先生と荒れた生徒の感動ストーリーだが、それを現実でやってのける教師がいた。
名前は近田直人、彼は学生時代にラグビーに打ち込み、筑波大学で体育教員の免許をとったあとは地元の大阪に戻り、教師のしてのキャリアをスタートさせる。赴任した高校はいわゆる荒れた高校だった。そこでさまざまな問題を抱えた生徒や保護者に向き合い、そしてときには行政や国のルールにも立ち向かっていく。
問題の解決は困難だったが、著者の信念は一貫していた。それは「愛情」である。生徒に対する愛情。生徒たちは誰かを傷つけたり、ルールを破ったりしたいのではない。ただ誰かの「愛情」を欲しているのだという。それも言葉だけでは伝わらない、行動を示すことで生徒の見る目が変わり、信頼を得ることができる。
著者の半生を記したといえる本書では、その過程を学ぶことができるだろう。また、体罰についても言及されている。生徒を支配するための体罰は許されるものではないが、「他人を傷つける暴力を止めるために手をあげることは必要」と書かれている。タブーと言われる体罰問題にも果敢に挑んだ内容は非常に貴重である。
教員に限らず、指導に携わる人、そして保護者の方にもぜひ読んでいただきたい一冊である。
(川浪 洋平)
カテゴリ:人生
タグ:教育
出版元:ザメディアジョン
掲載日:2020-09-23