ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
ひと目でわかる バスケットボールの筋力トレーニング パフォーマンス向上とケガ予防の解剖学
ブライアン コール ロブ パナリエッロ 有賀 誠司 ウイリアム ウェザリー
本書は大きく分けて88のエクササイズと、それらがバスケットボールの動きとどう関わっているのかが記載されている。
形式としては、エクササイズの「実施方法」と「動員される筋肉」が解説され、「バスケットボールの視点から」という項目で、そのエクササイズで得られた能力が、バスケットボールのプレー中どのように発揮されるのか表現されている。
トレーナーとして拝読すると、選手にエクササイズを処方する際に、競技動作とかけ離れたエクササイズが、いかに競技につながってくるかを説明するときの情報として有効活用ができる。エクササイズの中にはバーベルやメディシンボールなどを使用するものが多く、自宅でできそうなものは20種類ほどであったので、トレーニングルームやフィットネスクラブなどを利用しているプレイヤーを対象とした内容であろう。実施方法については、至ってシンプルな記載であり、トレーニング初心者向けのものとなる。これから筋力トレーニングを実施しようとする方、または筋力トレーニングがいかにバスケットボールのプレーの向上に役立つかを感覚だけでなく、言葉として理解したいプレイヤー向けである。
冒頭にもお伝えした通り、指導者やトレーナーの方が読む際は、選手に筋力トレーニングをしてもらう際の言葉選びの参考にする事ができる。筋力トレーニングの指導にあたり「脚の筋トレをしよう」よりも「ドリブル時のカッティングを素早くできてケガの予防にもなるエクササイズをしよう」と伝えたほうが選手はモチベートされる。そういった「何のために」という目的意識を持った言葉がけに難渋しているバスケットボール関係者にはオススメの一冊だ。
(橋本 紘希)
カテゴリ:トレーニング
タグ:バスケットボール
出版元:大修館書店
掲載日:2021-02-05