ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
スポーツマンシップを考える
広瀬 一郎
ちょっとお耳を拝借
さて、冒頭から恐縮ですが、ただいまより「すべてのスポーツ・コーチに捧げる、――コーチ必読!知ってるようで知らないスポーツ用語解説集――これを読めば貴方も明日から一流コーチの仲間入りだ!編」を始めたいと思います。(ずいぶん大袈裟なタイトルだなぁ……)
(1)「スポーツとは何か」
遊びであり、競争です。
(2)「スポーツマンシップとは何か?」
スポーツを通じて身につける人格的な総合力のことです。
(3)「フェアプレーという考え方はどうしてでてきたのか?」
スポーツが単なる遊びから、勝利を求めるものに変化していったからです。
(4)「なぜスポーツマンシップを教えなければならないのか?」
スポーツマンシップなしにはスポーツは成り立たないからです。
(5)「なぜ戦う相手を尊重するのか?」
素晴らしい勝利を得るためには、素晴らしい対戦相手が必要だからです。
(6)「なぜ審判を尊重するのか?」
審判がいなければゲームが成り立たないからです。
(7)「なぜゲームを尊重するのか?」
スポーツの素晴らしさが、そこに集約されているからです。
(8)「ルールを守ればスポーツマンか?」
必ずしもそうではない。伝統や慣習を尊重することも重要です。
(9)「勝負に徹するなら“スポーツマンシップ”はきれいごとか?」
きれいごとではなく、それこそが本質です。
(10)「“スポーツマンシップ”を教えると強くなるか?」
はい、その通りです。
さぁ、いかがでしたか。あんなに長年指導しているのに、なぜうちのチームはちっとも強くならんのだと、やたらこの頃酒量が増えている古株コーチも、ともかくスポーツは若さと情熱で教えていますという、どちらが選手かわからない新米コーチも、ちょっとこの辺で「スポーツの本質」について、上の「用語解説集」を参考にして改めて考えて見ませんか。きっと、絡んだ糸がほどけるように、一味違うコーチングが見えてくるはずです。えっ、まだよくわからない? そういうコーチは、本書をお読みください。因みに、ここに掲げた用語とその解説は、本書の目次とそのサブタイトルそのままなのです。
本書にはこの他に、元サッカー日本代表監督岡田武史氏と元ラグビー日本代表監督平尾誠二氏による対談「世界と戦うために」が収録されており、選手に望まれるメンタリティや判断力等について興味ある意見が交換されています。ただいまコーチ真っ只中の人にはたまらない内容ではないでしょうか。
きっと、本書を読み終えた後の貴方の顔は、一流コーチの顔になっていますよ。
(久米 秀作)
カテゴリ:指導
タグ:スポーツマンシップ
出版元:ベースボール・マガジン社
掲載日:2003-01-10