ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
スポーツオノマトペ なぜ一流選手は「声」を出すのか
藤野 良孝
スポーツオノマトペとは、「スポーツ時における擬音語・擬態語」のことである。声の要素が、選手の出す力やメンタル面への果たす役割について科学的に解明していこうというのが著者の基本的な姿勢。さまざまな競技の一流選手の発するオノマトペに焦点を当て、それにどのような意味があるのかを導き出していく。そして競技場面で観察されるオノマトペ以外にも、指導の場面で活用されていることも示している。
なかでも、長嶋茂雄氏、そして井上康生氏の2人がオノマトペについて語った部分が興味深い。「意識しないで使っている」という長嶋氏のコメントに井上氏も同意していることから、著者は「スポーツオノマトペは身体を通して無意識に発声され、また発せられたオノマトペを知覚することによって身体もレスポンスします」とまとめている。これに立脚して、実験・調査を行い、結果をわかりやすく示している。巻末にはアンケート調査に基づくミニ辞典が掲載されている。スポーツの現場において、もっと声に注目し、活用しようというメッセージである。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
カテゴリ:指導
タグ:オノマトペ
出版元:小学館
掲載日:2008-11-10