ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
闇を泳ぐ 全盲スイマー、自分を超えて世界に挑む。
木村 敬一
全盲のパラ水泳選手の幼少期から中学高校、大学、そして27歳からアメリカへ拠点を移し、現在に至るまでの細かい記憶を記した一冊。思っていた以上に早い段階からいわゆる体育会系な厳しい世界で努力をしていたことがうかがえます。
途中、コラムが挟まれていて、筆者ならではの感覚に触れることができました。見えない人へのサポートについて、便利になるほど不便なもの、障害者の暮らしの日米比較など、ユニークな文章の中にメッセージが込められているように感じました。
2020年の東京パラリンピックが延期になったというところで、本書は終わっています。延期されて2021年に行われた東京パラリンピックでは、100メートルバタフライで金メダル、100メートル平泳ぎで銀メダルを獲得。
タイトルの『闇を泳ぐ』、この4文字に筆者の人生が込められていて、これからの活動に注目していきたいと感じました。
(山口 玲奈)
カテゴリ:人生
タグ:パラ水泳
出版元:ミライカナイ
掲載日:2022-05-13