ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
身体を中心から変える コアパフォーマンス・トレーニング
マーク バーステーゲン ピート ウィリアムズ 咲花 正弥 栢野 由紀子 澤田 勝
「私が知りたかったコアの知識をようやく見つけられた」というのが、読み終えての感想である。
本書『身体を中心から変えるコアパフォーマンス・トレーニング』は、NFLコンバイン、MLBチーム、ドイツサッカーナショナルチームなど、世界最高峰のアスリート育成に携わってきたマーク・バーステーゲン氏の著作である。彼が1999年にアリゾナ州に創設した「アスリーツパフォーマンス(後のEXOS)」は、現在では年間100万人以上が利用する世界最大級のパフォーマンストレーニング施設となっており、その革新的な指導メソッドは世界中のトレーナーから注目を集めている。
いまやスポーツパフォーマンス向上と外傷の予防において、コアを鍛えることは必須となっている。トレーナー・セラピストはコアについて深い理解が求められ、選手やクライアントが改善したい動作や目的に向けてコアの機能を高めるプログラムを提供する必要がある。
本書の特徴は、「なぜコアが重要なのか」という根源的な疑問に明確な答えを示している点にある。著者は、スポーツ現場での豊富な指導経験から、コアの機能を「姿勢の安定」「力の伝達」「怪我の予防」という3つの観点から体系的に解説している。
特に実際の指導の場面では、読者が最も知りたい「どのような順序で、どのようなエクササイズを行うべきか」について、豊富な写真とともに段階的に解説している。例えば、クライアントの能力に合わせた適切な難易度の選択方法や、よく起こるエラーへの対処法など、現場で即座に活用できる情報が豊富に記載されている。さらに静止画のみならず、付属のCD-ROMで動画学習もでき、指導者・クライアントの理解を大幅に向上させるだろう。
また、多くのトレーナーが直面する「プログラムデザインの方法」についても、競技特性や目的に応じた具体的なプログラム例が示されており、選手・クライアントの目標達成に向けた明確な道筋を立てることができる。
本書は、コアトレーニングにおける「なぜそのエクササイズを行うのか」「どのように進めていくべきか」という多くの読者が抱える疑問に対する解答を示してくれる。現場で活動するトレーナー・セラピストにとって、クライアントの目標達成を確実にサポートするための必携の指南書と言えるだろう。
(川浪 洋平)
カテゴリ:トレーニング
タグ:トレーニング コア
出版元:大修館書店
掲載日:2025-01-08