ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
温泉教授の湯治力
松田 忠徳
日々の生活や運動後、疲労やストレスを感じたときに行きたいなと思うのが温泉である。誰に教わったわけでもないが、温泉の魅力は不思議と日本人のこころを引きつける。この本は、温泉教授として、またモンゴル研究家としても著名な松田氏が伝統的な「湯治」について紹介している。副題は『日本人が育んできた驚異の健康法』。
第1章「湯治は日本人の『ヴァカンス』だ!」は、江戸時代から現在までの湯治にまつわる歴史とトピックについて、第2章「湯治の本質は『ホンモノの温泉』にあり」は温泉定義や効能について、第3章「現代版・湯治指南――宿の選び方、湯治場での過ごし方」には湯治の実践的な要点が記されている(松田氏が薦める全国の温泉宿145選も収録)。
湯治は、お湯につかることを目的に温泉場に滞在し時を過ごすことであるが、現在は観光旅行の一環として温泉地を訪れることが主流となっている。その一方で、がんなどの難病を治すことを目的に湯治客として温泉場に長期滞在する人も増えている。健康づくりの一手段として、運動や食事による日常生活の改善に加え、湯治もうまく活用したいものだ。この本を読むと、「温泉に行きたい」という思いが一層強くなる。
2005年12月20日刊
(長谷川 智憲)
カテゴリ:その他
タグ:温泉
出版元:祥伝社
掲載日:2012-10-10