ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
上手なからだの使い方
渡曾 公治
今月号(月刊スポーツメディスン__号)の特集でも登場する未病の治に有効と言われている東洋医学。本書は著者がスポーツ医学の臨床や体育教師の生活で気づいたことを書き溜めたもので、副題は「未病の治を目指して」。
なかでもインパクトのあったのは“脳は一生使い続けても疲れない”という項。詳しい内容については本書を参照していただきたいが、全体を通してからだを動かすことの意味にまで疑問を投げかけ、私たちの“身体”とは何かを考えさせられる。
また最後に「これからの医学は疲れや軽い痛みなど微症状をもっと上手に扱うノウハウを研究すべきだと思います」と話している。たしかに日本の医療は一次予防にシフトし始めている。そういった意味でも東洋医学の研究が進むにつれて、今後世界的にも重要な役割を担っていくのではないか。本書は注目されつつあるこの分野の経験的バイブルのような役割を果たすとともに、西洋医学に携わる方でもおもしろく読める内容になっている。
2006年10月20日発行
(三橋 智広)
カテゴリ:身体
タグ:未病の治
出版元:北溟社
掲載日:2012-10-11