ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
子どもに「体力」をとりもどそう
宮下 充正
本書の前書きの言葉を引用すると、「学力も体力もどちらも成長とともに発達する能力であり、成長する期間は18年間と時間的に制約されている」とある。それだけに学力も体力も成長の過程で密接に関連しているということが言える。
そこで「まずはからだづくりだ!」と副題にある通り、本書では子どもたちの運動不足を深刻な問題と指摘している。本文は9章立てで、さまざまなデータを用い子どもたちの限られた発達段階にアプローチしていく。そのなかでアメリカは日本と異なり学校区ごとに授業のカリキュラムを決めることができるのだが、それが学年進行とともに体育への授業へ参加する割合を減少させる原因であるという。
これに対して「体育の授業を減らしたからと言って、それらの科目の成績が向上するという確かな保証はない。それよりも、たくさんの研究は学業成績とスポーツ活動を含め身体活動量との間には、正の相関があるとし、これを否定する研究はほとんど見当たらない」とある。
社会に貢献できる人に成長するためにはどうあるべきか。体育学という視点から本書を通し再考していくべき時期を迎えていると言えるだろう。
2007年7月10日刊
(三橋 智広)
カテゴリ:身体
タグ:子ども 体力
出版元:杏林書院
掲載日:2012-10-13