ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
スポーツ常識の嘘
横江 清司 スポーツ医・科学研究所
Main Topic(月刊スポーツメディスン103号)で紹介した財団法人スポーツ医・科学研究所の開設20周年にあたる今年6月10日に合わせて刊行された書。所長の横江先生が著者である。
だいたい2ページに1テーマの構成で、「サウナは減量によい」「ギプスを巻いたら復帰が遅れる」「ベンチプレスは肩の筋力強化によい」「運動は長時間続けなければ減量効果がない」「肩の脱臼は筋トレで治る」など、計37項目の「常識の嘘」を解説。
たとえば、ギプス固定については、不必要なギプスの場合は正しいが、ケガの種類、程度によっては間違った常識になるとし、生理学的に治癒するまでの期間の適切な期間の固定は必要と明確に記している。また、ギプス固定による筋萎縮の問題についても触れ、ギプス固定中の筋力維持法についても記している。
「常識の嘘」というのは、一般にそのように言われ、信じられ、実践されていることだが、その正しい部分と間違った部分を明確にして示そうという試みのようだ。
運動中に水を飲むなとか、突き指は引っ張っておけばよいとか、今では間違いとして知られていることもあるが、スポーツの現場によっては、まだ今も行われていることが少なくない。ただ頭からよいとか悪いとするのではなく、正しい知識を持って行うことの大切さがよくわかる本である。
横江清司著、(財)スポーツ医・科学研究所編
2008年6月10日
(清家 輝文)
カテゴリ:スポーツ医科学
タグ:知識 スポーツ科学
出版元:HIME企画
掲載日:2012-10-13