ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
スポーツ傷害のリハビリテーション
ジェリー・リンチ 水谷 豊 笈田 欣治 野老 稔
昔読んだ原書に「スポーツ医学とは結局リハビリテーションのことである」というようなくだりがあった。言いすぎではあるが、的を射たところもある。診断・治療・予防というなかで、近年は「予防」への関心が高まりつつある。右に紹介するACL損傷の予防に関する本もその流れにあると言ってよいだろう。
だが、実際にはケガしたアスリートや愛好家の治療が優先する。受傷の瞬間からリハビリテーションは始まるという考え方もあり、アスリートにとっても競技復帰にはいかにリハビリテーションを適切に行い、その後のトレーニングを行うかがキーになる。
本書でも、「特に重要な位置を占めるのがリハビリテーション」と言いながらも、医師と理学療法士をはじめとするリハビリスタッフの意思の疎通が十分でない点を指摘する。また、リハビリの手法や方針がともすれば経験的・慣習的なものに頼っていたり、独善的なものに陥りがちだと言う。
そこで、「科学的理論や根拠」を大事にし、神経生理学、バイオメカニクス、運動生理学などの側面から最近の知見を解説し、アスレティックリハビリの実際について、部位ごとに、整形外科医が解説し、それを受けて理学療法士が手技やストラテジーを解説するという形式をとっている。326図、2色刷り(一部4色刷り)でわかりやすい。
(清家 輝文)
カテゴリ:スポーツ医学
タグ:リハビリテーション
出版元:大修館書店
掲載日:2012-10-13