ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
失敗学のすすめ
畑村 洋太郎
「失敗は成功の母」という言葉が示す通り、失敗から多くを学ぶことは、誰もが共感できる考えである。目標を達成する人は一握りなのに、目標を前に断念する人は比較にならないほど多い。その差を埋めるためにどうしたらよいのか、この本には書いてある。
失敗をすることは誰にでもあり、程度の違いはあっても挫折を味わったことがない人はいないだろう。そんなときに、「思いもよらなかった」「予測できなかった」といった決まり文句を口にしてはいないだろうか。本当に「思いもよらなかった」「予測できなかった」のだろうか。もう一度自分に向き合ったとき、本心では「見たくないから見なかった」「失敗を隠したかった」のではないだろうか。失敗の原因を未知への遭遇にして責任逃れを繰り返している人は、次も失敗を繰り返し、目標に到達することはないだろう。
目標を達成しようと、日々努力している人たちは、ポジディブシンキングやプラス思考だけでは、問題を克服することができないことに気づいている。失敗をどのように活かすのか、同じ失敗を繰り返さないためにはどうしたらよいのか、こんなことに悩んでいる人にはよい道しるべとなる本である。目標を達成するためには、失敗のマイナス面のみに目を向けるのではなく、プラス面に目を向け、活かすことが唯一の方法である。
(服部 哲也)
カテゴリ:人生
タグ:リスク 心理
出版元:講談社
掲載日:2012-01-18