ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
バレーボールのメンタルマネジメント
遠藤 俊郎
日本のバレーボールは長い間低迷していた。正しく言えばまだ低迷中なのかもしれない。しかしながら、女子においてはアテネ、男子においては北京より再び五輪の舞台に出場することができている。それら低迷期に、メンタルという面から日本チームの基礎を築き上げ、後の五輪出場に大きな役割を果たした著者の活動を詳細に記している本である。
メンタルトレーニングについて詳細に記しているのはもちろんであるが、著者の考え方の基礎となっているのは、海外留学時代に学習した運動学習理論であろうと思われる。運動学習理論については、文中にもあるように書いていくと膨大な量になってしまうため、『バレーボールコーチングの科学』(ベースボール・マガジン社)をご覧頂きたい。端的に言えば、どう人に伝えるかを理論構築したものであり、興味深い。読み進めていくと今まで受けてきた指導法と全く違うことから違和感を感じるが、理解すればするほど感動するということを著者も述べている。
この本をバレーボールに限らず、多くの競技指導者に読んで頂ければ、指導法をより進化させられることは間違いないと思う。日本のスポーツ界のさらなる発展を祈って。
(金子 大)
カテゴリ:メンタル
タグ:バレーボール
出版元:大修館書店
掲載日:2012-10-13