ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
子どもの運動能力を引き出す方法 親子遊びと姿勢チェックが第一歩
佐藤 雅弘
コーディネーショントレーニングとコンディショニングを中心に、その意味や重要性を丁寧に解説している。親向けの本にしては専門的な言葉が多く、とっつきにくい感じを受ける方もいるかもしれないが、それでも頑張って読んでみてほしい。それだけの価値のある本だろう。
私が思うに、コーディネーショントレーニングとコンディショニングの共通点は、どちらも即効性がなく効果がわかりにくいが、それでいてとても重要な要素であることだ。だからこそ、日々の小さな積み重ねが、後々の大きな差となって現れる。
本書では、親子での遊びやスキンシップを通して、子どものコーディネーション能力を高めたり、正しい姿勢を習得できるよう、さまざまなメニューが紹介されている。
ただ、私も3児の父であるが、経験上、親が子にこのような”指導”を行うことは非常に難しいだろうと思う。なぜなら、親は子どもの能力を高めてやろうという狙いをもって接しているが、子どもは純粋に親と遊んでいるだけであり、つまらなければ違う遊びをせがむからだ。子どもからすれば、せっかく楽しく遊んでいるのに、親がコーチ面をしてあれこれ指示を出してくるのがうるさいのかもしれない。
ならば、親も純粋に子どもたちと遊べばよい。
本書にあるような遊びのメニューや理論的背景を踏まえつつ、とにかく親子で体を動かして思い切り遊ぶ。これに勝る幼年期のトレーニングはないように思う。親の役割は、子どもに、身体を動かして遊ぶことの楽しさを伝えることである。
親に必要なのは、一にも二にも体力なのだ。
(尾原 陽介)
カテゴリ:運動実践
タグ:コーディネーション
出版元:高橋書店
掲載日:2012-10-13