ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
天才キッカー 岩本輝雄のサッカーキックバイブル
岩本 輝雄
サッカーの本場ヨーロッパで「うまい・賢い」と呼ばれる選手は日本のそれとは少し異なる。日本の場合はいわゆる足技に着目するが、ヨーロッパでは、どのような状況でもしっかりボールを止めて、蹴ることのできる選手を指すことが多い。この著書は、世界レベルを実体験として持っておられる岩本輝雄氏ならではの構成となっている。
岩本氏と言えば、日本代表に選出された94年以降、キック・シュート力の素晴らしさが群を抜いていた。今の若い世代の選手にはわからないかもしれないが、現在のJリーグの選手と比較しても、そのシュート力には目を見張るものがあった。
その岩本選手が現役時代、とくに重要視してきたキックとトラップのバイブルがこの著書である。本の最初に「止める、蹴るができなくては話にならない」と強調するほどこだわってきたキックとトラップ。そのトレーニング方法、各キックにおけるポイントとアドバイスが細かく説明されている。たとえば2種類のインステップキックに関しては、どの場面で用いるのか、という使い分けについても説明されており、キックと動作をうまく行うだけでなく、試合の中でそのキックをどのように活かして行くのか、という点まで考慮されている。この点は、選手のみならずサッカーを根本から理解したいと思っているトレーナー、トレーニングコーチの方にもお勧めである。
また、DVDによって文中の説明を動作として見ることもできるため、とくにサッカーを始めたばかりの選手には教本ともなり得る1冊である。
(太田 徹)
カテゴリ:運動実践
タグ:サッカー キック動作
出版元:カンゼン
掲載日:2012-10-13