ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
幻の東京オリンピックとその時代 戦時期のスポーツ・都市・身体
坂上 康博 高岡 裕之
題名にある「幻の東京オリンピック」とは、立候補したがリオデジャネイロに開催決定した2016年のものではなく、戦時中の1940年のものである。開催決定までの誘致活動の様子、そして返上に至る過程について、スポーツ社会学的な分析が行われている。
各地の大規模な運動公園など、さまざまな運動施設はスポーツを行うインフラを担っているが、すでにこの時期から計画・整備が始まっていたことが本書により明らかにされている。オリンピック誘致と連動して、さまざまな変化が起きていること、それが戦後にも大きな影響を及ぼしていることが興味深い。
そのほかの題材として、都市空間、広告における写真表現、学生野球、集団体操などが取り上げられ、当時どのような動きがあったのかが文献に基づいて立体的に浮かび上がる。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
カテゴリ:スポーツ社会学
タグ:歴史 オリンピック
出版元:青弓社
掲載日:2010-04-10