ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
7分のおどりで筋力強化
西川 右近 西川 千雅 湯浅 景元
日本舞踊をもとにした「おどり」のエクササズとして知られる「NOSS(にほん・おどり・スポーツ・サイエンス)」については本誌(月刊スポーツメディスン)でも紹介したが、その実技本がこれだ(DVD付き)。
もともとは西川流家元の西川右近さんが心筋梗塞になりバイパス手術を受け、退院後はウォーキングでリハビリを始めたが、歩くだけでは不安もよぎり、気持ちが沈んでいった。そこで、舞台に復帰することを考え、その日時も決め、毎日稽古を始めた。すると、嘘のように意欲が湧き出て、筋力はじめ体力が回復していった。これがNOSSの始まりだが、それを湯浅先生(中京大学教授)の協力のもと、科学的な視点を取り入れ、「この冬(とき)がすぎれば」という曲もでき、この本で解説されている「おどり」となった。
単に運動するのではなく、おどりという所作の美しさ、表現の奥深さというどこまでも追求できる内容は、「これで完成」ということがない。年齢や性別も問わず、「和」という古来親しんできた文化も感じることができる。難しさがかえって刺激になるという面もある。90代でも元気に踊っている人は珍しくない。その秘密を知ることもできる。
(清家 輝文)
カテゴリ:運動実践
タグ:舞踊
出版元:日本経済新聞出版社
掲載日:2012-10-13