ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
コアパフォーマンス・トレーニング
Mark Verstegen Pete Williams 咲花 正弥 栢野 由紀子 澤田 勝
本書は近年日本のフィットネス業界にも普及してきたコアトレーニングについて詳しく書かれた一冊である。筆者は米国のアスリート・パフォーマンスというトレーニング施設を設立したマーク・バーステーゲン氏で、彼の提唱するトレーニングの哲学はアメリカのみならず世界のトレーニング界に大きな影響を与えている。トレーニングをしている者なら一度は耳にしたことであろうコア。本書はコアというキーワードを中心に以下の7つのユニットから成り立っている。
・ムーブメントプレパレーション:従来のトレーニング前のストレッチに変わるウォームアップ
・プレリハビリテーション:ケガや傷害を起こさないための予防的アプローチ
・バランスボールエクササイズ:肩、胴体、股関節、コアの強さと安定性を向上させるエクササイズ
・弾性(プライオメトリクス):弾力的な力を生み出すエクササイズ
・ストレングス:パワー、安定性、可動性を向上させるためのエクササイズ
・エネルギー供給システムの開発:爆発的なエネルギー発揮を可能にするカーディオトレーニング
・リジェネレーション:回復力を高めるための低い強度での身体運動
さらには食事に対してのアドバイスも記載されていて、専門用語についても詳しい説明があり、トレーニング従事者でなくとも理解しやすい内容となっている。本書のプログラムはアスリート・パフォーマンスで実際に行っている多くのエクササイズの中から短時間で最大の効果を得ることができるものから形成されている。トレーニングの時間をとることができない多忙な方にも配慮している非常に魅力的な内容となっている。
本書を読み終えた後、コアについての知識がよりいっそう深まっているはずである。そして今までの当たり前のように行っていたマシンやフリーウェイトなどのトレーニング方法に多少なりとも変化が必要なことにも気づくだろう。付属のCD-ROMで実際のエクササイズの動きを見ることができるのも非常によい。
トレーニング従事者にはもちろんのこと、さらに上のレベルを目指すアスリートや一般のトレーニーにもぜひお勧めしたい一冊である。
(三嶽 大輔)
カテゴリ:トレーニング
タグ:コアトレーニング
出版元:大修館書店
掲載日:2012-01-19