ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
「崖っぷち監督」がメダリストを二人生むまで
今村 俊明 宮部 保範 門脇 正法
タイトルにある「崖っぷち」とは、日本電産サンキョースケート部で監督を務める今村俊明氏である。解任直前まで追い込まれながら、自分しかいないという覚悟を示すことで踏みとどまり、バンクーバーオリンピックでは選手2人をメダル獲得に導いた道のりをまとめている。
スピードスケートの競技の特色が、映像が浮かび上がってくるような丁寧な情景描写によって描かれている。納得できないスケーティングだったときの悔しさ、熱い闘志、快挙を成し遂げた喜びが、具体的な行動で表現される。監督と選手との距離感や信頼関係についても、さまざまなエピソードを通じて明らかになっていく。
本人の努力はもちろんだが、選手たちを取り巻く環境や周囲の支えあっての活躍なのであり、それに対する感謝の気持ちが伝わる一冊となっている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
カテゴリ:スポーツライティング
タグ:スピードスケート
出版元:KKベストセラーズ
掲載日:2012-10-15