ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
命のカウンセリング
長谷川 泰三
4歳で一家離散、中学生で暴走族の仲間入り。15歳の時に友人の無免許運転で起きた事故が原因で脊髄を損傷。このような壮絶な経験をした著者が、事故の後遺症による激痛による苦しみ、生きていることの無意味さ、自殺未遂、次々に起こる身近な人の死を経て、現在は心理分析士として苦しい状況に追い込まれて"心の感覚が麻痺"してしまった人達の相談に当たっている。
本書では著者が実際に行っているカウンセリングやグループセラピーの様子を例に挙げて、どのようなキッカケで心身の歪みが出来、どのようにして問題解決していくかを説明している。ともすると異様とも感じるグループセラピーの様子ではあるが、普通には起こり得ない状況を経験してしまった人には必要なことなのかもしれない。生と死とは、それほどに人の心に影響を与えるものなのだと改めて思わされる。
立場上、身体の相談から派生して心の相談に応じることも多いが、心の相談に関してこのような世界もあるのかと衝撃を受けた1冊である。
(石郷岡 真巳)
カテゴリ:身体
タグ:カウンセリング
出版元:あさ出版
掲載日:2012-10-15