ATACK NET ブックレビュー
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野球場で観客はなぜ「野球に連れてって」を歌うのか
佐山 和夫
2010年夏、明治神宮球場を中心に行われた世界大学野球選手権大会では、7回表終了時のグラウンド整備の間にこの曲が流されました。もっとも、普段、この曲を歌うことに慣れていない神宮親父たちはキョトンとしてしまったのですが。
タイトルにもある、「私を野球に連れてって」を野球場でなぜ歌うのかや、野球のベースがなぜ左回りか、なぜ他の球技と違ってボールを持っているチームが守備であるかといった筆者が抱く疑問は、普段野球に近い距離にいる人ほど、疑問に思わない点であるように思います。私自身はそんなことを考えたことさえありませんでした。
しかし、野球のルールのルーツを知ることにより、アメリカ人の価値観や野球というものの本質をアメリカ人がどう考えているのかということに触れることができました。ルールや習慣は、今の形に至るまでに形ややり方が変化していき、なるべくしてなっています。あとがきで筆者自身が「私個人の勝手な思い込み」と述べているように、ところどころに疑問を持ってしまう見解もありますが、こういったことに着目し、考えることは、野球を、ひいてはスポーツをより楽しんで観たりプレーしたりすることができるのではないでしょうか。
(松本 圭祐)
カテゴリ:スポーツ社会学
タグ:野球
出版元:アスキー・メディアワークス
掲載日:2012-10-16