ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
バク転完全攻略本
吉田 哲郎
私はバク転ができない。だからこの本の内容が正しいのかは判断しかねる。ただ、いろいろな意味で面白い本であると思う。
面白さの第一は、この本には、バク転ができるようになるためのことしか書いていない点だ。ありがちな、「バク転で子どもたちに笑顔を云々…」とか「人間形成をなんたらかんたら」というようなことにはまったく触れられていない。
「バク転ができればカッコイイのは間違いなし!」というためだけに、バク転を完成させるための練習法だけが書いてある。
そして第二はその練習法である。バク転に必要な要素を分解し、さまざまな技でそれを習得してゆくのだ。最終的にそこで習得した感覚や身体の使い方を統合し、バク転を完成させるという流れになっている。まさに「攻略本」だ。
もうひとつ、面白いと思う部分がある。それは、冒頭および各カテゴリーの扉ページに記載してある警告だ。
・あらゆる人がバク転を成功させることを保証するものではない
・物的損害、障害、後遺症、死亡などの可能性がある
・すべての運動におけるリスクは、運動を行う本人が負う
など、当たり前のことばかりだが、それをズバリと書いているのは、他のハウツー本ではあまり見たことがない。そんなことまで警告しなきゃならなくなったのか、とちょっと寂しい気持ちにもなったが。
子ども向けの本なのでとてもわかりやすく、私(38歳)も練習次第でできるようになるんじゃないかという気持ちになった。でもやっぱり、やめておいたほうがいいだろうなぁ。
(尾原 陽介)
カテゴリ:運動実践
タグ:バク転
出版元:スタジオタッククリエイティブ
掲載日:2012-10-16