ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
No.1メンタルトレーニング 本番で最高の力を発揮する最強の自分をつくる
西田 文郎
「人間には無限の可能性がある。メンタルトレーニングは、自分の心をコントロールできるようになることで、その可能性を引き出すことに貢献するものである」本書の根幹を要約すると、こういうことであろう。メンタルトレーニングに関連する書籍の王道を進むものであるように感じる。
しかし、読み進めていくと、「いかに自分の心をコントロールするか」ということに関して、小手先のテクニックに終始するのではなく、より人間の本質的な部分にアプローチしていることを感じる。(1)感情、(2)イメージ、(3)思考という3つの側面に対して、わかりやすく、丁寧に論理を積み重ねているのである。
本書の流れは、「優秀なアスリートの条件」から始まる。理想的な姿、あるいは基準を設定し、読者に自分自身とのギャップを理解することを促しているのであろう。そして、そのギャップを埋めるために、人間の脳に対して、先述の3つの側面からアプローチしている。これは、「アスリートとしての在り方」「人間としての在り方」を高めようとしているように感じるのである。
本書を読み終えたとき、「競技選手の存在」について、改めて考えてみた。競技選手が不安を感じることは驚くことではないし、指導者や選手に関わる全ての人たちは、もっと競技選手について理解してあげることができるのではないかと感じるのである。本書は、実在する選手やチームの具体例なども豊富で、取り組みの様子もイメージしやすい内容である。具体的な取り組みだけに終始せず、本質的な部分も教えてくれるものであることを実感した。
(南川 哲人)
カテゴリ:メンタル
タグ:メンタルトレーニング
出版元:現代書林
掲載日:2010-11-10