ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
免疫・「自己」と「非自己」の科学
多田 富雄
「免疫」という言葉は、誰でも一度は耳にしたことがあるだろう。本書は、免疫の持つ“自己か非自己かを判断し、非自己(自分以外)を排除する”という特徴を、全体のテーマとして掲げている。
一言で「免疫」といってもその実態は実に複雑で難解である。ついつい敬遠しがちな分野であることは確かだ。だが、本書では一般の読者でもわかりやすいよう専門用語を極力減らし、細かくテーマ分けすることで少しずつ無理なく読み進めていけるような工夫がされている。生理学の教科書に書いてあるような少々お堅い内容だけではなく、「インフルエンザ」や「アレルギー」といった比較的身近な話題や、「臓器移植」・「クローン」など非常に興味深い内容も盛り込まれており、文系人間の私でも割り合いとっつきやすい一冊であった。
(藤井 歩)
カテゴリ:医学
タグ:免疫
出版元:日本放送出版協会
掲載日:2012-10-16