ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
逆風満帆
朝日新聞be編集部
本書は、第1章「頂点からの転落、そのとき自分は…」、第2章「挫折の中から自分の可能性を切り拓く」、第3章「逆風あればこそ見えてくるものがある」、第4章「たゆまぬ努力と職人魂で1つ上をめざす」、第5章「逆境でも自分を貫く強さが人を惹きつける」によって構成され、各分野で活躍する20名の人物が登場する。
私たちは活躍する人物を見ると、順風満帆に人生を歩んでいるように見える。しかし実際には、外からは見えない陰の努力やさまざまな思いが存在する。さまざまな苦難に遭遇しながらも、その過程で前向きに取り組むことで状況を打開しているのである。見ているようで見えていなかったことや、気づかないでいたことを本書から感じ取れる。そして、多様な角度からものごとを見ることで、スポーツに関わる私たちにも多くのヒントを得ることができるだろう。
本書のあとがきには、次の1文でまとめられている。「ほんとうに大きな困難を克服して今の地位に辿り着いた人たちは、実に冷静に自分を分析していました。自分の失敗や逆境を見つめ直して、他人に率直に語れる人というのは、やはり一流の人だと実感しています」ということである。本書は、謙虚な姿勢や心が大事であり、それが後になって、自分自身に返ってくることを教えてくれる。
(辻本 和広)
カテゴリ:人生
タグ:アスリートの言葉
出版元:明治書院
掲載日:2012-10-16