ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
高血圧の常識はウソばかり
桑島 巌
本書はタイトルの通り、我々にもなじみの深い血圧、とくに「高血圧」について書かれた本である。「血圧は病院で測るもの」という認識ではなく、現在では自動で計測できる血圧計が一家に一台あっていつでも測れるというように、血圧は身近なものになった印象をうける。また薬剤の普及により、高血圧自体の「本当の怖さ」を我々一般人はあまり認識できていない。筆者は高血圧に長く関わった臨床医、研究者の立場からわかりやすく「血圧」について解説している。
血管を車の通行量と道の狭さでたとえる。「白衣高血圧」よりもサラリーマンの約3割が該当するという、仕事中のストレスにより血圧が高く、仕事以外の時間は血圧が低い、いわゆる「職場高血圧」のほうが現代人には問題が多い。血圧上昇に関わるホルモンの役割と薬剤の効果など、これまで常識と思われた部分を最新の研究をレビューしながら、誤解を解くように新しい知見を解説されている。
学生時代に生理学や病理学などで血圧については学んできていて、「いまさら…」と思われるトレーナーや治療家の方々にこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊である。
(泉 重樹)
カテゴリ:医学
タグ:血圧 生理学
出版元:朝日新聞社
掲載日:2012-02-07