ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
シコふんじゃおう
元・一ノ矢
「シコは羽目板の前でふめ」。昔の力士のシコは、上体がほぼ垂直に立っていたそうだ。取組の姿勢もそうで、戦前までは、あまり頭を下げずに上体はわりと起き上がっている力士が多かった。したがって、お互いの腰と腰の距離が近い。腰で相撲をとるから、うっちゃりや吊り出しが今よりも多かったそうだ。確かに、曙は引き落としに弱かったが、貴乃花は腰の位置が相手に近かったように思う。
「腰を割る」、これがシコの基本である。しかし、新弟子の多くは股関節が硬く、「腰を割る」シコができないと言う。「腰を割る」というのは、膝を開いて踏ん張り、腰を低くして強い外力に堪えられる構えをとることである。
もちろん尻は自然と締まった姿勢になる。正しい腰割りは、股関節まわりの筋肉を強化してくれる。昨今流行りのコアトレーニングが、日本伝統のスポーツでは、とっくの昔に実践されていた。そのことが、なんだか妙に嬉しい。
(森下 茂)
カテゴリ:運動実践
タグ:四股 相撲 トレーニング
出版元:ベースボール・マガジン社
掲載日:2012-10-16