ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
誰でもわかる動作分析
小島 正義
難しいことをやさしく教えるには、相当な知識が必要である。人にものを教えたことがある人ならわかるはずである。
私は理系の人間ではない。したがって、「物理学」「運動学」「人間工学」などは苦手中の苦手である。しかしである、ほんとうに驚くべきほどスムーズにこの本は読み進むことができたのである。
「生物の動きは『ある法則』で説明できる」という。「ある法則」とは「重力」のことだ。「重力」と言っても難しく考える必要はなく、その力はいつも同じ方向に向かっているということ。つまり、重力の方向は必ず下向き(地面方向)であるということを覚えておけばよい。そこさえ頭にいれておけば、あとは「フーン、なるほど」「ああ、そういうことだったのか」のかの連発。そして、「動くことっていろいろと理にかなってるんだなぁ」という著者の思いと同じものを感じるのである。
著者は作業療法士であるので介護に携わる者はもちろん、スポーツに携わるコーチ、選手、トレーナー、トレーニングコーチ、はたまた力仕事に関わる人たち、とにかく「人間の動き」について興味のある方ならどなたでもお勧めしたい本である。とくに、私のように理系はどうも苦手という方にはありがたい。
(森下 茂)
カテゴリ:身体
タグ:動作分析
出版元:南江堂
掲載日:2012-10-16