ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
運動会で一番になる方法
深代 千之
著者である深代氏は、日本のスポーツ・バイオメカニクス研究者の第一人者です。トップアスリートの動作分析から子どもの発達段階にあった運動能力開発法まで幅広く研究しています。最近では、テレビ番組の「世界一受けたい授業」に出演し、テレビで目にした人も多くいると思います。
身体に障害がない限り、誰でも走ることはできます。歩いたり、走ったりといった体験は、みんな山ほどもっています。風を切って疾走したいという願望は、誰もが一度は持ったことがあると思います。しかし、走り方を正しく教えられた覚えのある人は、陸上競技出身者でない限りほとんどいないのではないでしょうか。ましてや、最新のスプリント理論となると、現役のトップアスリートに絞られてくるに違いないことでしょう。
本書は、世界でもっとも進んでいる日本のスポーツ・バイオメカニクス研究から生まれた、速く走るための“秘訣”(コツ)を、誰でも身につけられるようにまとめたものです。最新のスプリント理論を、小学生向けに応用した実践書です。ちょっとしたコツをつかめば、誰もが見違えるように速く、美しく走れるようになると著者は言います。走りは、大腿の「振り上げ」と「振り戻し」という単純動作です。速く走るためには、エンジンである腸腰筋とハムストリングス、大殿筋といった筋肉を活性化し、それ以外の足の筋肉は重りにならないように太くしないことです。筋力をつけて早く走るのではなく、走り方を身につける。「股関節活性化ドリル」がキーワードです。そんな“秘訣”について、考え方から実践ドリルまで書かれています。
題名は、『運動会で一番になる方法』ですが、大人になった今から始めてもよさそうな内容です。ランニング愛好家や走ることを含むさまざまなスポーツ愛好家などにもお勧めです。「股関節活性化ドリル」は親子で一緒に始めてもよい内容です。
(服部 哲也)
カテゴリ:運動実践
タグ:子ども スポーツ
出版元:アスキー
掲載日:2012-10-16