ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
痛みのカルテ
伊藤 正治
スポーツマンのみならず、“痛み”は厄介なもので、医学的にもなぜ痛みが生じるのかは結局よくわかっていない。痛みの程度は、人によっても、またそのときの環境や精神状態でも違うし、痛みの表現も人種間で大きな差があるといわれている。痛みに強い人、弱い人がいるのも経験的に私たちは知っている。スポーツマンの多く、とくにコンタクト・スポーツの選手は比較的痛みに強く、陸上競技などの選手は痛みにとても敏感である。
痛みに関する本はかなり出ているが、今回紹介するのは、30年近いキャリアを有するベテラン医学記者が、専門家に会って取材、ジャーナリストらしい切れ味で、まとめたものである。全体の構成は、「基礎編」で痛みの総論を行い、以下、「頭痛」に始まり「足の痛み」まで、身体の上から下まで10章に分け、その発生原因、症状、診断、治療並びに予防をその痛みに応じて記すというものである。テニス肘、野球肘、半月板・靭帯損傷などスポーツ関係のものも含まれているが、スポーツマンも人間、こうした全般的痛みの本を持っておくと、何かと便利だろう。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
カテゴリ:スポーツ医科学
タグ:痛み
出版元:共同通信社
掲載日:1983-11-10