ATACK NET ブックレビュー
トレーニングやリハビリテーションなど、スポーツ医科学と関連した書評を掲載しています。
シンクロナイズド・スイミング
日本水泳連盟シンクロナイズド・スイミング委員会、科学技術委員会
フィギュア・スケート、新体操など、競技力とともに芸術的な美しさがとくに要求される競技の人気が高まっている。シンクロナイズド・スイミング(以下シンクロ)も同様である。シンクロは新しい競技のイメージがあるが、その発祥は1920年頃といわれ、日本に初めて紹介されたのはちょうど30年前の1954年である。日本水泳連盟が競技会に採用したのが1957年というから、その対応の早さもさることながら、決して昨日今日の競技ではないことが改めてわかる。まだ普及度の点ではこれからとはいえ、日本のレベルが世界にあってかなり高いのは読者周知のことだろう。
そのシンクロの画期的なテキストが本書であり、スポーツ指導書としても注目に値する内容である。
第1章「さあ始めようシンクロナイズド・スイミング」ではシンクロの歴史と魅力などを説き、第2章「楽しいリズム水泳」では、リズム水泳の技術を中心に、基本、応用、リズムのとり方、練習のポイントと項目を起こして、極めてわかりやすく紹介。第3章「シンクロの技術」では基本、フィギュア(第1〜4群、38種)、ルーティンを写真、図を多数、工夫して解説、以下第4章「シンクロのトレーニング」、第5章「シンクロの科学」といった技術のバックグラウンドも付している(さらに付録として成績一覧表も)。
とくに注目すべきは、技術解説の巧みさであり、本という手段で動作を説明する困難を最大限カバーしている。またトレーニングや科学(医学を含む)をわかりやすく要領よくまとめるのは、この種の指導書として必須であるにかかわらず、おろそかにされていたことを考えると、スポーツの新しい局面がここに垣間見られるといってもよいだろう。競技者のみならず、コーチ、指導者必携の書と謳われているのもうなずける。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
カテゴリ:スポーツ医科学
タグ:シンクロナイズド・スイミング
出版元:大修館書店
掲載日:1984-10-10