高校野球 神奈川を戦う監督たち
大利 実
2013年春に発売されたものだが、1シーズン限りの観戦ガイドではなく、読み応えがある。中学軟式野球、高校野球の現場に足しげく通う筆者ならではのノンフィクションだ。
慶應義塾などの伝統校、2009年に甲子園初出場を果たした横浜隼人、打倒私立を掲げる県立高校の監督たちが、いかにそれぞれのチームカラーをつくりあげているかに迫る。神奈川県予選でぶつかることも多く、勝負を分けたプレーについても聞いている。最終的に、横浜高という王者をいかに倒すかを皆考えながら切磋琢磨しているのがわかる。
1校しか甲子園に行けず、ライバルも多数いる中でのチームづくり、そしてライバルチームの指導者とどのような関係を築いているかは非常に興味深いものだ。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2014-01-10)
タグ:野球 監督
カテゴリ スポーツライティング
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プロアマ共用 野球選手に贈る試合に勝つためのマル秘偵察術
神原 謙悟 大利 実
高校チーム、大学チームでアナリストを務め、プロ球団でゲーム分析を担当する神原氏。オリジナルの分析シートを公開し、その記録方法と、集めたデータから見えてくることを紹介していく。膨大な情報を収集し分析するというのは野球やチーム球技の特性かもしれないが、情報の活用という意味ではさまざまな種目に通じる。実際、試合毎に変わる要素がありデータが万能ではないこと、選手・指導者とのコミュニケーションのコツについてなども言及されている。また、「偵察」は敵に限らず、自チームの課題や長所を明らかにするものでもある。うまくデータを強化に結びつけたい。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2017-03-10)
タグ:偵察 スカウティング 分析
カテゴリ その他
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プロアマ共用 野球選手に贈る 試合に勝つためのマル秘偵察術
神原 謙悟 大利 実
本書は、現在プロ野球のある球団でゲーム分析と育成を担当している神原謙悟氏が監修者として、自らの指導者経験や分析の仕事を通じて得た試合分析のエッセンスを披露したものである。現在の野球界はデータ取得のための様々なテクノロジーが発達し、「投手の球の回転数」「打球の角度」といった、一昔前では考えられない種類と数のデータが手に入るようになってきた。
そんな時代にプロ野球のゲーム分析担当者が著した本書だが、意外にも最新のテクノロジーの話はまったく出てこない。そこに紹介されているのは、神原氏オリジナルの分析シートを使い、投手の1球ごとに見えたこと、気づいたことを記入していくという、極めて基本的でアナログな方法なのだ。しかしこの分析シートがすごい。本書を読んでいただきたいので詳しく項目を挙げることは避けるが、野球に関心のある人がこのシートを見れば、その「観察眼」にはきっと驚嘆することであろう。一つだけ例を挙げれば、投手の投球間の仕草について、触る場所や視線の方向に至るまで観察すべき項目が挙げられている。もし、投手が自分の仕草をこれだけ詳細に見られていると知ったら、きっと動揺するのではないだろうか。
無名の公立校の指導者であった神原氏は、試合を見ながら気づいたことを常にメモし、また当事者チームの指導者を訪ねて生の声を聞く作業を繰り返しながら、この方法を習得したという。神原氏自身もパソコンで試合分析を行う仕事に携わりながらも、本人の言葉を借りれば、「現代野球をデジタルで戦うためには、アナログの力や感性が必要」と考えている。本書にも1節が設けられているが、指示する言葉の一つにまで気を使うその細やかさにこそ、データ分析とその活用に人の介在する意味があるのであろう。
本書に書かれていることをすべて実践しようとするのはかなり困難だと思われるし、神原氏自身もそれは想定していない。しかし、本書に示されている「観察のポイント」は、それが野球ファンであっても、また指導者や選手であっても、読者に試合を見る際の視点や気づきを与えてくれるであろう。専用の機材やソフトウェアがなくても試合分析はできるし、専用のツールから得たデータに深みを加えるには、やはり人の観察眼が必要なのである。そんな安心感も読後に持つことのできた一冊だ。
(橘 肇)
出版元:日刊スポーツ出版社
(掲載日:2019-09-07)
タグ:スカウティング
カテゴリ 指導
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高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意
大利 実
野球を見ていると「投げた」「打った」というわかりやすいプレーの結果を追いがちですが、そういう見方をしていると勝敗に一喜一憂してしまうような気がします。もちろんそれも野球の重要な要素ではありますが、本書を読んで思ったのは、あまり注目されない走塁にも野球の醍醐味があったことです。これは観戦する側の感想ですが、実際にプレーなさっている方にとっては心が震えるほど野球の難しさと面白さに触れられるのではないでしょうか。
最近はこういった表現をあまり耳にしなくなりましたが、「走塁の虎の巻」と呼べる一冊です。塁間を駆け抜けるのに必要なのは足の速さ。そう思っていましたが、ボールを打った瞬間からバッターはランナーとなるという言葉はまさにその通りであって、足が速かろうと遅かろうとランナーである以上走らなければなりません。ホームランを除いては、いくら打っても塁間を走りホームに戻ってこないと点は入りません。ここを原点とする以上、走塁を軽んじることはできません。
本書の内容は高校野球の監督たちが走塁についてそれぞれの考えを述べておられますが、走力を高めるための練習法もあれば、走塁技術の解説もあります。話はそこにとどまらず野球観であったり、心理戦であったり、相手に対しての観察眼であったり、野球の神髄とも言えそうなお話もあったりして、あまり詳しくない私でもドキドキするような大切なお話もあります。そういった深いお話に感動しながら読み進めると、最後に登場するのは高校野球ではなく中日ドラゴンズの荒木雅博コーチ。言わずと知れた往年の名プレイヤーです。現役時代、盗塁するときはバッターやキャッチャーの方を見ず、キャッチャーのミットの捕球音で状況を判断し、ショートを守っている選手の目線や動きで打球の行方を判断したそうです。どこまで奥行きが深いのでしょう。
(辻田 浩志)
出版元:カンゼン
(掲載日:2023-06-30)
タグ:野球 走塁
カテゴリ 指導
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