テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために
Iñigo Mujika 水村(久埜)真由美 彦井 浩孝 寺本 寧則
テーパリング戦略の現実は試行錯誤の積み重ねであるうえに、競技特性や個々の選手によってもやり方が変わってきます。さまざまな要素が絡むために基礎となるべきデータの集積と問題点の整理が必要とされますが、それらをまとめ上げたものが本書だと言えます。
現場でテーパリングとピーキングをプログラムする際の参考として役立つものが項目別に整理されています。
テーパリングの生理学的見地と心理学的見地からの考察。具体的に数値化されたトレーニングの変化。各競技にあった方法論などが網羅されています。しかもそれらが単なる数字集めにとどまらず、問題点の掘り起こしや重要度の違いについても言及されているので活きたデータといえるでしょう。膨大なデータに裏付けされた解説には重みがあります。
練習量や運動強度、あるいは期間やペースなどをむやみやたらと減らしていけばいいというものでもありません。あくまでも試合のときに最高のパフォーマンスを発揮させることが目的ですから、テーパリングプログラムをデザインするときの目安として強い味方になりそうな内容です。
進め方でありがたかったのは「一目でわかる」という結論の表記。難解な部分も多かったので、理解できないときは結論から読んだ後に詳細を読んでいけば、頭の中で整理されるので助かりました。
(辻田 浩志)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2017-10-17)
タグ:テーパリング ピーキング
カテゴリ スポーツ医科学
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テーパリング&ピーキング 最適なパフォーマンスのために
Iñigo Mujika 水村(久埜) 真由美 彦井 浩孝 寺本 寧則
テーパリング(tapering)とは、「漸減させる」という意味である。
トレーニング指導においてチームから求められることは、試合でのパフォーマンスの最大化であることは言うまでもない。コーチやトレーニング指導者は試合直前まで選手のパフォーマンス向上を目指しながら、同時にケガの発生と疲労による影響に注意しなければならない。
本書は前半でテーパリングによる身体的・心理的変化に関する研究、パフォーマンス向上のためのテーパリングメソッドを解説し、後半ではオリンピックや世界選手権で結果を残した一流選手の試合直前のコンディショニング=テーパリング記録を紹介している。
非常に興味深かったのは、第7章のトレーニングの数理的モデル化である。選手に影響を与える要素はトレーニングはもちろん生活環境や人間関係も含めありとあらゆるものがあるが、それらとパフォーマンスとの関係を可能な限り簡略化するものである。これよってそれまでの章のテーパリングの研究結果やメソッドの理解が格段に深まり、指導者がこれから実施するテーパリングの効果を予測しやすく、コントロール可能なものにする。現場にいる人間が理解・実行できる内容であることは非常に重要なポイントであろう。
瞬発的競技、持久的競技、個人競技、チーム競技など、競技特性別にポイントを解説しているのも魅力的である。豊富な科学的知見とそれらが理解しやすい構成の本書は、指導の質の向上だけでなく、選手に対する説得力や他スタッフとの円滑な連携にも寄与するはずだ。
(川浪 洋平)
出版元:ブックハウス・エイチディ
(掲載日:2019-09-25)
タグ:テーパリング ピーキング
カテゴリ スポーツ医科学
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