133キロ怪速球
山本 昌
現役のプロ野球選手、山本昌は、自らの野球人生を「悔いがある」と語る一方で、「1回きり」の心構えで過ごしてきたからこそ成功したともいう。
著者は、若いころ戦力外通告におびえながら選手生活を送ってきた。選手生活を通して、自らの持つすべての力を引き出して日々を過ごし続けてきたことが、やり直しがきかないプロ野球の世界での成功を導いた最大の要因であると語る。
成功するためには、運も必要であり、自分ひとりの力たけでは不可能である。成功を望む人が知りたい、うまくいく人といかない人との差はどこにあるのか。チャンスをつくるための準備には何が必要か。到来したチャンスを逃さないためにはどうしたらよいのか。といった様々な疑問をプロ野球の世界を通して語られている。
決して才能に満ちあふれ、期待された選手ではなかった。その証拠に、一年目に登板すらできなかった史上初の200勝投手でもある。どこにでもいる野球少年が、最年長完投記録をはじめ、様々な最年長記録ホルダーという、息が長い特別の投手になった理由に「鏡」「時間」「好き」「階段」「なじむ」「観察力」「平均点」といったキーワードを挙げる。それらのキーワードを掘り下げ消化することで、読者が生きていく上の知恵、道標となるに違いない本である。
(服部 哲也)
出版元:ベースボール・マガジン社
(掲載日:2014-03-06)
タグ:野球 投球
カテゴリ 人生
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笑顔の習慣34 仕事と趣味と僕と野球
山本 昌
筆者の山本昌投手は実に記録に満ちた大投手です。実績から見ても50歳まで現役、32年間の実働と現役で中日一筋、219勝で殿堂入り、41歳でノーヒットノーランを達成されています。そんな山本投手が現役を引退して、セカンドキャリアを歩みながら現役時代を回顧しています。背番号にちなんで34個のエピソードがあり、丁度よい文章量で読みやすく構成されています。
32年間も現役を続けられた要因として、興味深い点を仰っています。それは、実はマイナス思考で緊張しやすい性格という点です。その不安を補うためにダンベルを毎日握って手首を鍛える小さな努力を継続しています。また、女房役である捕手のサインには首を振らなかったそうです。納得できなければ、あえてボールに外しています。それは、投手よりもバッターを間近で何試合も見ている捕手を信じているからです。そして、先発として序盤で打たれたとしても決して「投げない」(投げ出さない、あきらめない)と述べています。投げ出してしまうのは周りにいる選手にも失礼にあたります。何より一生懸命投げることが、219勝という結果につながっています。
また、出会いの大切さやピンチのときこそチャンスであったと回顧されています。入団後、なかなか選手としての目が出ずにドジャースキャンプに半年間参加した際、2人の恩師に出会うことができ、ここからブレークされています。
そして興味深い話として、強いチームの条件は、よい選手がよい習慣を行うと述べています。2016、2017、2018年とセ・リーグを3連覇した広島東洋カープの強さは、チームの土壌にあると解説されています。
また、それは落合監督時代に無類の強さを誇った中日ドラゴンズも同様です。ドラフトでよい選手、つまり「苗」を取ってきても、それを育てるチームである「土壌」がよくないとよい花は咲かないというたとえは納得の話です。
この話を読みながら、私もかつて優勝争いをしていた在阪球団の体力測定イベントのスタッフで施設内を見学したときに、大ベテランの選手が若手選手に交じって精力的に汗をかいていたのを思い出して腑に落ちました。
この書籍は、現役のアスリート選手やビジネスマンに読んでほしい一冊です。本書では、現役時代を振り返ってセカンドキャリアにおいて何が大切かについて述べられています。アスリートには必ず引退が訪れます。きっと、現役時代の経験を活かすヒントが見つかると思います。
(中地 圭太)
出版元:内外出版社
(掲載日:2020-04-09)
タグ:野球 投手 セカンドキャリア
カテゴリ 人生
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