日本女子サッカーが世界と互角に戦える本当の理由
松原 渓
2011年7月、震災から約4カ月後、“絆”という言葉を胸に日本中が見守る中、なでしこジャパンは世界最強の女子サッカーチームとなった。そして、澤選手や大野選手、ヤングなでしこの田中選手というようにスター選手が増え、様々な年代に支持されるようになった日本女子サッカー。W杯を境に女子サッカーを取り巻く環境が180度変化したと、筆者は言う。
筆者は、小学校3年生からサッカーを始め、日テレベレーザの下部組織であるメニーナのセクションを受けたほどの選手で、現在もフットサルチームに所属している。また、サッカー番組のアシスタントやキャスター、スポーツライターとして活躍し、様々な現場で取材を行ってきた。この本の前半ではそんな彼女の経験を生かし、日本女子サッカーの歴史と現状、なでしこメンバーの素顔が語られている。
後半では、“未来のなでしこたちへ”と題して、育成年代の指揮者へのインタビューがまとめられている。彼らの様々な意見の中に共通して、プレーレベルの向上と同じくらい“人間性・自主性を育てること”が重要視されていると感じた。このことこそが、なでしこジャパンがW杯と同時に、フェアプレー賞も受賞したことにつながったのだろう。
読み終えて、10年前に比べれば日本における女子サッカーの知名度は上がったが、プレー環境や財政的な面で、まだまだ課題が多いことも痛感した。育成時代の環境設備や、才能ある原石がしっかりと輝ける育成システムの一助になりたい。そんな筆者の思いに共感し、今回レビューを書かせて頂いた。日本女子サッカー界のさらなる発展を心から願う。
(服部 紗都子)
出版元:東邦出版
(掲載日:2014-04-08)
タグ:サッカー
カテゴリ スポーツライティング
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日本女子サッカーが世界と互角に戦える本当の理由
松原 渓
サッカー番組のピッチレポーターやキャスターを務めてきた松原氏の初の著書。自らも小学校3年生からプレーした女子サッカー経験者ならではの思いが詰まった一冊だ。
前半は大野忍や永里優季らトップ選手、そして後半は育成年代の指導者に話を聞いている。前半では、各選手たちがサッカーを始めたきっかけや、どのように技をみがいていったかなどにもふれられているが、まだ女子サッカーがさかんとは言えなかった頃からの積み重ねが今、W杯優勝や五輪準優勝などの実を結んでいると再確認できた。「これから」の育成についても着目した切り口は、試合に限らず指導現場でも取材を重ねている著者らしい。
指導というのは短期で結果が出ないこともあるが、積み重ねは裏切らないと勇気付けられる。
競技人口の少なさ、指導者が求められていることなどを踏まえて、タイトルの通り丹念な取材で掘り起こされている。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:東邦出版
(掲載日:2013-02-10)
タグ:サッカー 女子サッカー
カテゴリ 指導
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