スポーツ・サイキング 勝つためのスポーツ心理学
トーマス・タッコ アンバート・トッシー 松田 岩男 池田並子
「ゲームのフィジカル(身体的)な面の上達をたすける本、つまりバットやクラブ、ラケット、ボール、あるいは棒高跳びのポールの握り方などを教示してくれる本ならたくさんあるけれど、いったいどこに自意識や恐怖や腹立たしさ、挫折のイライラその他、スポーツの遂行を妨げる情動的(エモーショナル)難題のよりよい把握の仕方が示されているだろうか?」(第1章より)
つまり、この本はスポーツを外から見て、筋力がどうの、テクニックがどうのというのではなく、内から見て、スポーツマンの心の問題を説いたものだ。スポーツ心理学というと難しく聞こえるが、表紙の感じからもわかるように、どのスポーツマンにも面白く読め、指導者にとっても選手管理や士気の高揚などにとても役立つのがこの本である。
とくにSERP(スポーツ情動反応プロフィール)という自己診断の章(第5章)は実際に試してみる価値がある。
「自分のことは自分が一番よくわかっている」という人もあるだろうが、本当は自分こそ最も不可解な存在かもしれない。心の問題で少しでもひっかかったことのある人にはもちろん、そんなこと考えたこともないという人にもぜひ一読を勧めたい。
トーマス・タッコ、アンバート・トッシー著
松田岩男、池田並子訳
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:講談社
(掲載日:1980-09-10)
タグ:メンタル
カテゴリ メンタル
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スポーツトレーニングの心理学
R.N.シンガー 松田 岩男
昔、レオナルド・ダビンチという偉人がいた。今でいえば、美術も科学も医学も、彼は広範囲において天才を発揮した。各分野が専門分化していく今日、彼の偉業を再現することは一個人、いかなる大天才にとっても不可能であろう。世にいうマルチ人間でも、その水準で事をなしていくのは困難なはずだ。
スポーツ心理学も例外ではない。「他の書物を分析した結果、私はこの領域に関する最も包括的な本を書こうと思いたった」(序文より)と記されている通り、スポーツと心理学について、1968年初版、1975年改訂第2版、そして1980年にその第3版が出されたものの翻訳本が『スポーツトレーニングの心理学』(R.N.シンガー著、松田岩男監訳、大修館書店)である。
日本語版への序文から察するところ、これは初版翻訳の次の翻訳となり、その改訂の意味は極めて大だろう。著者が「話題は興味深く、エキサイティングですらある──少なくとも私には」と記されている通り、そもそも学問はエキサイティングなところがあるべきなのだ。スポーツ心理学の体系を知るために、この1冊はありがたい1冊といえる。なお、原題は“Motor Learning and Human Performance”であり、著者はアメリカ・フロリダ州立大学教授、国際スポーツ心理学会会長である。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:大修館書店
(掲載日:1986-10-10)
タグ:スポーツ心理学
カテゴリ スポーツ医科学
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