歩き始めと歩行の分析
江原 義弘 山本 澄子
“二足歩行”という移動手段は、非常に特徴的で複雑なものである。もちろん人間にはその他さまざまな動きが可能であるが、基本的動作能力(寝返り・起き上がり・座位保持・立ち上がり・立位保持・歩行)にも含まれる通り、歩行は人体がつくり出す動作の基本である。そして、これが正しく行えるかどうかで、その他の動作・活動に大きく影響が及ぶのである。高度な身体運動を必要とするスポーツ活動において、「正しい歩行が行えるかどうか」が大きく関わってくるのも当然である。
本書では、“歩き始め”を含め、歩行に関する人体のメカニズムを力学的見地から説明している。一般的に行なわれている動作観察では、身体の部位の位置変化を眼で見ることはできる。しかしそれ以前に、各部位へどのような力が加わり、重心がどう動き、どこの筋肉が収縮することによってその動きが起こっているのかは目に見えない。そこを力学的にわかりやすく説明してくれているのである。歩行というものをしっかりと理解したいとき、大変役に立つはずである。
(宮崎 喬平)
出版元:医歯薬出版
(掲載日:2012-06-04)
タグ:歩行 バイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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姿勢と運動の力学がやさしくわかる本
勝平 純司 山本 敬三 江原 義弘
この書籍は、バイオメカニクスの基本を、イラストを使いイメージしやすく初心者が理解するために書かれた一冊です。全6章のパートに分かれており、1章から順を追って語句が解説されており、物理学をおさらいするにも適した書籍です。
第1章は「力と重心」として重心位置の解説や、ベクトル・力のつり合い・作用反作用の法則といった、重さが働くとどのように変化するか解説されています。第2章は「床反力と身体運動」として床反力や床反力ベクトルといった床から受ける重心位置の移動について、第3章は「並進運動と運動の法則」として、速度と加速度や慣性の法則・並進運動といった移動に伴う速さについて解説されます。第4章「回転運動とモーメント」では、テコの原理をモーメントやレバーアームといった力のつり合いについて、第5章「エネルギーとパワー」ではパワーや仕事率、力学的エネルギーといった物体を動かす働きについて、最後の第6章「運動量と力積」は、運動量とは何かについて、ジャンプ動作と力積が解説されています。
中学校時代に習った物理学の単語も数多く使われていることがわかります。表紙にも医療従事者や介護関係・スポーツトレーナーなどにお勧めと書かれており、イラストの豊富さが振り返りの学びによく合います。本書を手に取っていただき、物理学の視点から現場に活用していただきたいと思います。
(中地 圭太)
出版元:ナツメ社
(掲載日:2021-12-20)
タグ:バイオメカニクス
カテゴリ スポーツ医科学
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