コーチ論
織田 淳太郎
ちょっと書店に出かけてみると、ビジネスコーナーには「コーチ」とか「トレーニング」という文字が溢れている。指導して、能力を引き出すことがビジネスでも求められている。
もちろん、本書はビジネスものではない。あくまでスポーツのコーチ論だが、むしろコーチング論と言ったほうがよいかもしれない。著者は、スポーツライターでノンフィクション、小説の両分野で活躍とある。そういう人がこの分野を書くとどうなるか。
全6章で、「“頑張らない”ことが潜在能力を引き出す」「間違いだらけのコーチング」「日本人が捨てた究極の“走り方”」「メンタルトレーニングの真贋」「誰も教えてくれないバッティング常識の嘘」「やる気を引き出すコーチング」の順である。スポーツ科学的情報も多いが、結局コーチとは何なのか、今日本のスポーツあるいは社会が考えるべき材料にも満ちている。
(清家 輝文)
出版元:光文社
(掲載日:2012-10-08)
タグ:コーチング コーチ
カテゴリ 指導
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捕手論
織田 淳太郎
野球においての捕手とは、野手の中で唯一正反対を向き投手の放った球を捕る。また、ホームベースを守り得点の最後の砦としての役割を担うポジションである。
さて、みなさんは捕手に対してどんなイメージを持っているだろうか。投手は華々しく野球の花形であるのに対し、捕手はマスクを被りどこか陰湿で裏方的な印象がある。
そんな捕手にスポットを当て、あらゆる角度から捕手についての解説が述べられているのが当書である。
著者の取材に応じた数々の歴代捕手方からの貴重な経験談や具体的なゲームシーンの例を多く用いて捕手を解明しており、捕手というポジションの奥深さを感じられる。その中でもキャッチング技術は勿論のこと、配球のリードも捕手としての醍醐味である。そこにはバッターの特徴の他に投手との信頼関係、チームの作戦など様々な要素が絡まり複雑さが伺える。また、他の野手とは違い正対しているポジションである上、審判や打者と近距離に位置することから相互に影響している。
色々な働きをする捕手はその呼び名を正捕手、正妻、女房役、司令塔などとされるが、その多面性からどれも判然とされていない。捕手が担う役割についてはまだまだ書き足りないほどだが、野球の中で大切な要である反面、面倒なポジションといえる。
本書はそんな捕手の無限ともいえる魅力を十分に感じられ、1度でも野球に打ち込んだことのある方やプロ野球好きの方などにとっては面白みを味わえるだろう。
(池田 健一)
出版元:光文社
(掲載日:2012-10-16)
タグ:野球 捕手
カテゴリ 指導
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