まんが 医学の歴史
茨木 保
この本は医学史を紹介しているものだが、その特筆することは「まんが」で書かれていることである。しかも、そのまんがは、婦人科の医師である著者の茨木氏ご自身で書かれていること。医学部の学生の頃に同人誌や投稿用のまんがを書いていたそうで正真正銘のプロなのである。
本書は、月刊誌『看護学雑誌』で「まんが医学の歴史」という連載をはじめたものを、本書の前半を雑誌連載(2003~2005年分32話)、後半書き下ろし(20話)でまとめられたもの。医学のはじまりから、東洋医学の考え、解剖学のはじまり、顕微鏡の発明、日本医学の歩み、抗生物質の発見、DNAの発見、移植医療の進歩、生殖医療の進歩と目次の一部をみていっただけでも、過去から現代の医療まで壮大な物語が1冊にまとめられている。現代の医学がどのように発展し、どのような人たちが関わってきたのか、356頁にぎっしりとまとめられている。
2008年3月1日刊
(田口 久美子)
出版元:医学書院
(掲載日:2012-10-13)
タグ:医学史 マンガ
カテゴリ 医学
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まんが医学の歴史
茨木 保
医師であり、漫画家でもある著者が、医学史的エポックメーキングな事件とともに、個性的な人物を取り上げる。
取り憑かれたような解剖学者ヴェサリウス。
患者を想う気持ちから、愛護的な治療法を確立したパレ。
好奇心の塊のような「実験医学の父」ジョン・ハンター。
産褥熱撲滅のため、手洗いを励行したゼンメルワイスの孤軍奮闘。
オランダ語辞典もない中、手探りで「ターヘル・アナトミア」を訳しきった杉田玄白と前野良沢。
麻酔薬「通仙散」開発にまつわる華岡青洲の母と妻の献身。
秀才ではあるものの、放蕩ぶりを存分に発揮していた野口英世などなど。
キーワードでしか知らない過去の偉人たちの、人間らしい部分がいきいきと活写されている。現代医学の恩恵に浴している身としては、ゾッとするエピソードも多いが、きっと何十、何百年後の人々には、現代の最新医学もそう思われるのだろう。
同著者の、疾病がイラストつきで解説されている『ビジュアルノート』、解剖生理学を楽しく学べる『まんが人体の不思議』も合わせておすすめしたい。
(塩﨑 由規)
出版元:医学書院
(掲載日:2022-04-18)
タグ:医学史
カテゴリ 医学
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