7分のおどりで筋力強化
西川 右近 西川 千雅 湯浅 景元
日本舞踊をもとにした「おどり」のエクササズとして知られる「NOSS(にほん・おどり・スポーツ・サイエンス)」については本誌(月刊スポーツメディスン)でも紹介したが、その実技本がこれだ(DVD付き)。
もともとは西川流家元の西川右近さんが心筋梗塞になりバイパス手術を受け、退院後はウォーキングでリハビリを始めたが、歩くだけでは不安もよぎり、気持ちが沈んでいった。そこで、舞台に復帰することを考え、その日時も決め、毎日稽古を始めた。すると、嘘のように意欲が湧き出て、筋力はじめ体力が回復していった。これがNOSSの始まりだが、それを湯浅先生(中京大学教授)の協力のもと、科学的な視点を取り入れ、「この冬(とき)がすぎれば」という曲もでき、この本で解説されている「おどり」となった。
単に運動するのではなく、おどりという所作の美しさ、表現の奥深さというどこまでも追求できる内容は、「これで完成」ということがない。年齢や性別も問わず、「和」という古来親しんできた文化も感じることができる。難しさがかえって刺激になるという面もある。90代でも元気に踊っている人は珍しくない。その秘密を知ることもできる。
(清家 輝文)
出版元:日本経済新聞出版社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:舞踊
カテゴリ 運動実践
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にんげん見本帖
西川 右近
筆者西川右近氏は日本舞踊家で名古屋西川流の家元。本書は筆者の交友録でもあり、関わった人々により成長していく過程を記した自叙伝とも言えます。「人は影響されつつ影響する」ドイツの学者の言葉だったように記憶していますが、人は生まれて大勢の人に出会い、たくさんのことを学びます。その積み重ねによりひとりの人間としての人格を形成していくといった意味ですが、ここに登場する人物との出会いとそれぞれのエピソードが西川右近という人間を育てたんだよ、そう言いたげな内容だと感じました。そして多くの個性的な人物との関わり合いこそが舞踊家として「今」をつくり上げた感謝の念から書かれた作品のようです。
こういった世界では一般人の感覚とは違います。住む世界が違うといったほうがより正確でしょう。ここに登場する人物ひとりひとりが普通はお目にかかることのないお方ばかり、常識はずれというか破天荒というかスケールの大きさを痛感するとともに、それぞれの登場人物がひとりずつ物語になりそうなお方ばかり。こんな人の中で育ったらどんな人間になるのだろうと、たじろぎそうになるほどの面々。それだけにエピソードは魅力がたっぷり。芸の世界に生きる人々の遊び心・心意気・駆け引き・粋…。豪快で愉快な人間模様がリアルに描かれています。
(辻田 浩志)
出版元:創美社
(掲載日:2013-11-19)
タグ:舞踊
カテゴリ 人生
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