アスリート留学 in USA
栄 陽子 滝沢 丈
アメリカの大学生がスポーツ選手として、どのように考え、どのように生活を送っているかが、詳しく書いてある。また、全く留学について知らなくても、アメリカの大学について、どのように入学し、生活を送り、卒業するかという過程がわかりやすく解説してあり、イメージしやすくなるだろう。
本文は大きく基礎編と実践編に分かれている。
基礎編では、アメリカ人の大学に対する価値観からアメリカの大学がスポーツのレベルでどのように分類されているか、アメリカで学生アスリートとなるために何が必要かを大学名や実際の金額を出して分かりやすく示している。
実践編では、スポーツ部入部のためのノウハウ(野球、ソフトボール、バレーボール、ゴルフ、サッカー、水泳について、自己紹介文、トライアウトの方法など)、各競技レベル(division)の大学におけるスポーツ設備やアスリートへの対応、入部した後のアスリート留学生のスケジュールが具体的に書かれている。また、最後に留学体験記や資料として、アメフトや野球等で毎年米ランキングの上位に上がってくる大学の資料もついている。
アメリカの大学は入るよりも出るのが大変ということは耳にしたことがあったが、この本にもそのことについて随所に示されている。成績や単位数によってスポーツ活動の制限だけでなく退学も余儀なくなされてしまう。アメリカの大学がアスリートも一学生として育てるという意識の高さが感じられた。アスリート・留学を目指す人のみならず、日本の大学・高校の関係者にもぜひお勧めしたい1冊である。
(服部 紗都子)
出版元:三修社
(掲載日:2012-01-18)
タグ:留学 教育 ノウハウ
カテゴリ 人生
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レッドソックスはなぜ松坂投手をとったのか
佐山 和夫
みごとにワールドシリーズ優勝を果たしたボストンレッドソックス。昨年から松坂投手を獲得することで日本でも話題は大きなものになった。
ボストンは古くから、清教徒が集まる街として、また世界的な大学があるアカデミックな街として知られ、住民も白人層が多い街である。チームも白人選手を中心に集めてきた。そんなレッドソックスが、独占交渉権に5,111万ドル(約60億円)、選手契約に6年5,200万ドル、合計額1億311万ドル(約123億円)と、なぜそこまでして松坂が欲しかったのか。
著者はアメリカ野球学会にも所属する佐山和夫氏。アメリカスポーツ史のなかでもあまり知られていないニグロベースボールについての書籍も出している。そんな同氏がメジャーリーグの歴史でも伝統あるレッドソックスを、歴史的な視点から触れていく本書は、国際化をはかるレッドソックスの本当の戦略が見えてくる。
2007年10月1日刊
(三橋 智広)
出版元:三修社
(掲載日:2012-10-12)
タグ:野球
カテゴリ その他
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スポーツ留学 in USA
岩崎 由純 峠野 哲郎
本書では、海外へ留学したい方のために、留学するためには何が必要であるのか、アメリカでの生活はどのようなものなのかについて、実際に海外で勉強をされた経験のある著者が留学の魅力を語る。
内容は、選手、アスレチックトレーナー、監督・コーチ、アスレチックディレクター、エクイップメント・マネージャー、スポーツ・マネジメントという分野に分け、それぞれの仕事内容や資格を説明している。さらに、学校の選び方やカリキュラム、奨学金制度などが丁寧に書かれている。
日本のスポーツ界だけではなく、アメリカのスポーツ界を知ることによって視野が広がる。「こんなこともあるんだ」というようなことがたくさん書かれており、日本では行われていないことやアメリカならではの魅力や厳しさがある。とくに、大学でスポーツをするためのさまざまな規定や学生としてのあり方。また、一流選手を出すための環境や選手が自立をするための教育システムがとても印象的である。
スポーツに関わっている人であれば留学に憧れることは珍しくはないであろう。アメリカ留学を考えている方はもちろん、そうでない方もぜひ本書でアメリカでの学びの魅力を知っていただきたい。
(清水 歩)
出版元:三修社
(掲載日:2012-10-13)
タグ:留学
カテゴリ その他
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スポーツ留学 in USA
岩崎 由純 峠野 哲郎
アメリカでプロアスリートになる
本書はアメリカに留学したい、それもスポーツ選手としてアスリートとして留学したいと希望している高校生あるいは大学生に向けて、長年の留学サポート実績を誇る「栄陽子留学研究所」の代表・栄陽子氏が中心となって書き下ろしたアメリカ留学実用書である。
それにしても今回この本を手にして、単なる留学ではないスポーツ留学だの「アメリカでプロアスリートになるには」(第一章)といったタイトルを目にして、正直おじさんは驚いている。われわれの時代には(というと古臭く聞こえるかもしれないが)、単なる異文化散見程度で留学と認識されたのとは違い、自らを相手国の文化の中に埋没させ、そこで職を得て生活する覚悟(?)を持って渡航しようとする現代の若者のバイタリティには、おじさんは畏怖の念を持って見つめざるを得ないのである。多分この本が出版される背景には、すでに一般の人々(とくに若者)の間ではこういった新しい留学の概念が市民権を得つつあるという著者の鋭い先見性によるところが大であると思うが、しかしこの場に及んでもこのおじさんは、“留学”に対し一種偏見としか思えない古臭いイメージに憑かれていた。ところが、早速序章のところで著者はこのおじさんの古い頭を思いっきりひっぱたいたのである。
「留学」とは勉強することなり
序章のタイトルは「アスリートを目指す留学生が知っておきたい三つの事柄」。なんの変哲もないこの章には、実は本書の根幹を成す内容がエッセンスとなって詰め込まれていたのである。著者は、「アメリカの大学でアスリートとして生きていくためには、まず三つのことを理解する必要があります」と前置きして、①勉強が第一であること、②専攻を自由に選べること、③アメリカではスポーツはすべてシーズン制であること、を強調している。これらの内容は、本文中にも繰り返し出てくるのだが、とくに①の勉学については日本とアメリカの大学教育システムや理念の違いや、アメリカ社会が学生スポーツをどのように受け入れているかなどについて多くの紙幅が割かれている。簡単に言えば、アメリカでは日本と違って大学という場は勉学の場であり、個人の自立を促す場であること、したがって、勉強についていけない学生はたとえオリンピック級のアスリートであっても退学処分になること。また、②専攻が自由に選べることについては、裏を返せば自分の好きなことは自分で探せということで、これも結局のところ自分自身が学業に熱心でないと難しいこと。そして③に至っては、シーズン制をとっているため毎日の、毎週の、シーズンの練習時間に厳しい取り決めがあり、それを越えてコーチについて練習することは許されないこと。したがって個人の努力が大きなウェイトを占めるという、これまた個人の自立精神に大いに関係することなどが強調されているのである。ライバル校に勝ちたければ相手よりたくさん練習しろ、という日本流の極意はアメリカでは通用しそうにない。結局のところ、アメリカでは自分の力ですべて切り拓けということらしい。こういったことをすべて理解し、リスクも承知でアメリカへ留学しようとする若者とそれを手助けしようとする著者。両者の熱意にささやかではあるが本書を通して触れることができて、ようやくおじさんの頭は“新しい留学”へと切り替わりつつある。そして、この留学生たちがいずれ近い将来日本に“復帰”して、日本のスポーツシーンを劇的に変えるであろう予感もおじさんはこの本を読んで感じるのである。
(久米 秀作)
出版元:三修社
(掲載日:2004-04-10)
タグ:留学
カテゴリ その他
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