中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
愛知医科大学運動療育センター 丹羽 滋郎 野口 昌良
中高齢者の生活習慣病、各種疾病予防に視点を置き、運動の実際について疾患別に疾患の概要、目的、評価、方法、期待できる効果、注意すべき点を紹介しているのが本書である。循環器疾患、代謝系疾患、運動器疾患、運動器系疾患、小児科疾患、産婦人科系、その他として関節リウマチを取り上げている。監修を担当しているのは、月刊スポーツメディスン76号の特集「機能向上エクササイズ」に登場していただいた丹羽先生。
本書では、健康づくりのキーワードとして(1)己を知る(自分の健康状態を知る)、(2)自分の目標は何か(目標のためにどんな体力が必要か)、(3)適正な運動処方(目標に適した運動強度、量、時間)、(4)継続性(健康づくりは一朝一夕では成し得ない)の4点を挙げ、十分な動機づけをしたうえで障害の発生を予防しながら指導していくことが不可欠であると指摘する。
付録として愛知医科大学運動療育センターで実際に行っているメディカルチェックの各項目の説明、結果表も掲載されており、健康づくりの実際の現場で役立つ内容となっている。
愛知医科大学運動療育センター編集、丹羽滋郎、野口昌良監修
2005年10月10日刊
(長谷川 智憲)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2012-10-10)
タグ:運動処方 トレーニング 高齢者 メディカルチェック
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
e-hon
中高年・疾病予防のための運動の実際
愛知医科大学運動療育センター 丹波 滋郎 野口 昌良
本書では循環器系、代謝系、運動器系の各疾患で代表的なものの病態生理とそれに基づく運動処方が紹介されている。運動器系については整形外科的なものと加齢によるものと項目を別にして紹介されている。
中高年とタイトルにあるが、小児科や産婦人科に関する内容も盛り込まれている。とくに医学的見地に基づく妊婦の運動に関する記述は、目にする機会も少ないため、非常に興味深い。
疾患治療のための運動処方だけではなく、一般的な運動処方においても、人体の基本的な機能を把握することは非常に大切なことになる。
そのうえで疾患治療の運動処方は、疾患の病態をきちんと理解しなければ、症状を悪化を引き起こしかねない。表面的な理解だけではなく、人体に対してさまざまな角度での深い理解が必要となってくる。
もちろん疾病からの回復を目指すことも大切だが、疾病を予防することも大切だ。しかし生活習慣病予防は明確な目的を設定しにくいため、疾患にかかりたいと思っている人はいないにもかかわらず、継続することが難しい。
いかに継続させるか、それは指導する側の知識や技量に大きく関わってくるのではないだろうか。
(澤野 博)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2012-10-12)
タグ:高齢者 中高年 疾病予防
カテゴリ トレーニング
CiNii Booksで検索:中高年・疾病予防のための運動の実際
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:中高年・疾病予防のための運動の実際
e-hon
スポーツ医学常識のうそ
横江 清司
人体に関する普遍性
常識とは、一般の人々が共通に持つ、それが普通だと考える知識や考え方のことである。しかし、それが普遍的な真理だとは呼べない。社会的常識というものは国や地域、また時代によって大きく異なる。さらに突き詰めれば、個人の捉え方でその様相は別物になってしまう。法とは個人の捉え方に左右されない、いわば強制力を伴う常識であるが、これですら地域や時代で変化する。ただ、人間という身体の機能に関する常識は、人種により多少の違いはあれど、本来普遍的なものであるべきだろう。うれしいときに喜び、悲しいときに嘆くといった根本的な精神活動もしかりだ。しかし、いまだその真理の多くが解明されていないということも現時点での真実であるし、個々の人間性という複雑な精神活動を加味した場合、絶対的真理というものは存在し得ないのかもしれない。
「常識」への警鐘
本書ではスポーツ界に「常識」として普及している情報の中で、問題のあるものを取り上げてわかりやすく解説している。これら人間の身体に関する「うその常識」は、スポーツ医学を専門に学んだ者にとってはすでに「常識」たり得ないことばかりで、陳腐な感は否めない。しかし、世間一般の読者が持つ「常識」への警鐘が今なお必要だということであろう。次々に生み出される目新しいダイエット本がベストセラーになり、減量用サウナスーツが今なお売れているくらいだから、この問題が解決されることは、あるいはないのかもしれない。商売上手な業者に誤った「常識」をすり込まれて顧客化する、あるいは誤った「常識」の流行に如才なく棹さす商売上手が儲ける仕組みは、この先もなくならないのだろう。
仮に真理というものがあるとしても、気づいてしまえばつまらないことが多く、当たり前のことを当たり前にすることなど、面白みがないという側面も理解はできる。人は刺激的なこと、目新しいこと、楽に目的達成できる方法や自分が納得するのに都合がよいことに理由なく心奪われやすい。このことは責められないし、個々人が健康を害しない程度で取り上げるのであれば、日々の生活に何か変化をもたらすという意味で、罪のないことなのかもしれない。
常識を更新し、人間と向かい合う
ただ、それが人体に害をなすことであれば話は別である。医学界でエビデンス(科学的根拠)に基づく医療(EBM)という概念が唱えられて久しい。現時点での医学界での良識を打ち立てていくこの考え方は、スポーツ界や健康業界でももっと広がるべきだ。現場で働くアスレティックトレーナーも常に研究者や臨床家が苦労の末得たエビデンスに敏感でいる必要がある。もちろん、その質にもさまざまな議論があり、時に覆されることもあるこの言葉に単純に踊らされることはないが、現時点での「常識」を常に更新しなくてはならないのだ。それには実体験に基づく有用な経験則と思い込みとを区別し、本来持つべき新しい「常識」の会得を阻害することがないような心構えも必要だ。
そしてEBMも、盲目的に患者や選手に押しつける材料にしてしまっては、その本来の意味を見失うことになる。複雑な精神活動が加味された人間である選手や患者と向かい合ったときには、やはりそれを話す側の人間的な力が必要になるのだ。勇気を持って選手の考えにノーを突きつける姿勢や、リスクの質、大きさを可能な限り正確に理解し、伝え、選手が望むチャレンジに覚悟を持って付き合い、ギリギリで戦い続ける姿勢も必要なのだ。そこに真理はないかもしれないが、何らかの真実があるはずだ。
(山根 太治)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2010-09-10)
タグ:学び
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:スポーツ医学常識のうそ
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:スポーツ医学常識のうそ
e-hon
中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
愛知医科大学運動療育センター 丹羽 滋郎 野口 昌良
世界有数の“長寿国”日本。高齢社会を迎えた今、いかに“健康で長生きするか”が求められる現代。本書は、“健康寿命”を延ばすための運動指導を中心に、各疾患に対する栄養指針まで盛り込まれた一冊である。
一見とっつきにくいが、中身は表や図、写真が多く使われ、視覚的にも訴えてくるものがあり非常にわかりやすい。また、健康づくりのための4つのキーワードを掲げ、実施者本人が個人の目標を持ち無理なく継続してできるような内容が多い。明日からすぐに使えるような運動が紹介されており、方法や留意点についても細かく記され、とても実践的で現場に即した内容となっている。
(藤井 歩)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2012-10-16)
タグ:運動指導 健康
カテゴリ 指導
CiNii Booksで検索:中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:中高年・疾病予防(健康づくり)のための運動の実際
e-hon
実践すぐに役立つアスレティックリハビリテーションマニュアル
福林 徹
1998年発行された『整形外科アスレティックリハビリテーション実践マニュアル』を大幅改訂。スポーツ選手に対するアスレチックリハビリテーションを、部位・疾患・種目別に分類し、医師、PT、トレーナーなどの専門家が詳しく解説。
(月刊トレーニング・ジャーナル編集部)
出版元:全日本病院出版会
(掲載日:2006-05-10)
タグ:リハビリテーション アスレティックリハビリテーション
カテゴリ スポーツ医科学
CiNii Booksで検索:実践すぐに役立つアスレティックリハビリテーションマニュアル
紀伊國屋書店ウェブストアで検索:実践すぐに役立つアスレティックリハビリテーションマニュアル
e-hon